浅葱色の計算用紙

数学(広義)を扱っています。

オリオン座を横から見てみた

突然ですが、これはオリオン座です。

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しかし何かがおかしいですね。まるでグラフ描画ソフトか何かで描いたような見た目になっています。

実際、これはGeogebraで描きました。α星~ζ星とκ星の位置を球座標から3次元直交座標に変換して、そこに点をプロットしました。しかし、この図ではε星は描画距離の範囲外になり描画されていないようです。

 

ちょっと待ってください。3次元直交座標ということは、別にこの方向から見る必要はないですよね。オリオン座を横から見たっていいはずです。

 

というわけで、さっそくオリオン座の全体像を(いつもの座標軸の向きで)見てみましょう。原点に地球があります。

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密集しすぎてよくわかりませんね。しかし、ε星が他の星より地球から離れていることはわかります。実際、ε星と地球との距離は約2000光年ですが、他の星は地球から1000光年以内にあります。

 

ε星以外を拡大してみましょう。

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この視点だと真ん中の3つ星のうち2つが重なって見えてしまいます。

 

地球よりさらに後ろから見たらどうなるでしょうか?

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なんとなく普段見る形と似ていますね。星のある部分と反対側から見ているので、それほど形にゆがみが生じないのでしょう。

 

今度は上から見てみましょう。

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オリオン座は天球全体を区切るように存在しているので、中心から扇形の範囲に星々が位置することになります。

 

最後に横から見てみましょう。

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原点が地球なので、地球に近い星が左側に位置しています。地球からはきれいに見えるオリオン座も、横から見るとかなり歪んでいることが分かりますね。

 

結論: オリオン座は地球から見るから美しい!

10^6以上の実数

(これはホラー記事なので、適宜短調のBGMを聞きながら読んでください。)

 

昨日の記事は

nichi.potaro.orgでした。

面白そうなのでもう少し踏み込んで勉強してみたいと思います。

 

さて、今日の日曜数学Advent Calendarは「10^6以上の実数を1つ投稿します」です。ということは、

10^6

とだけ書いてこの記事を終了してもいいのですが、そんなことをすると「たった4文字のためだけに貴重なAdvent Calendarの枠を1つ潰したのか」というクレームが飛んできそうなので、もう少し面白いことをしましょう。

 

10^6以上の実数は10^6以上であればいくら大きくてもいいので、実数を大きくする操作を考えましょう。例えば、

$$ f(x) = x+1 $$

という関数を考えると、これは任意の実数\( x \)に対し、\( f(x) > x \)が成り立つので、この関数は実数を大きくすることができます。そこで、さっきの10^6をこの関数で大きくしてみましょう。

$$ f(10^6) = 10^6+1 $$

大きくなりました。ですがこれでもまだ「100万とんで1」なので面白くありませんね。もう1回大きくしましょう。

$$ f(f(10^6)) = (10^6+1)+1 = 10^6+2 $$

「100万とんで2」ですね。

 

一体私は何をやっているのでしょう。「100万から1ずつ数を数える」なんていう記事は誰も望んでいないはずです。せっかくですから、もっと大きい数を作りましょう

 

$$ g(x) = f^x(x) $$

(ただし\( f^x \)は\( f \)の\( x \)回合成)とおくと、\( x \geq 1 \)のとき\( g(x)=f^x(x) \geq f(x)>x \)が成り立ちます。また、\( f \)を定数回合成した関数は、その定数が何であっても\( x \)を十分大きくすれば\( g \)の方が大きくなってしまいます。なぜなら、\( x \)をその定数より大きくすることができるからです。

 

さて、この関数に\( 10^6 \)を代入しましょう。非常に大きい数が得られるはずです。

\( \begin{eqnarray*} g(10^6) &=& f^{10^6}(10^6) \\ &=& f^{10^6-1}(10^6) \\ &=& \cdots \\ &=& 10^6 \cdot 2 \end{eqnarray*} \)

2倍になりました。一般に、\( g(x) = 2x \)が成り立ちます。この証明は非常に簡単なので、読者への演習問題にしません

 

もちろんこの\( g \)を\( 10^6 \)に複数回適用することもできます。当然ながら、適用した回数だけ\( 10^6 \)が2倍されます。

$$ g(g(10^6)) = 10^6 \cdot 2^2 = 4 \cdot 10^6 $$

$$ g(g(g(10^6))) = 10^6 \cdot 2^3 = 8 \cdot 10^6 $$

 

まだ面白くありませんね。いっそのこと、\( g \)を\( 10^6 \)回適用したらどうなるでしょうか。そのために、次の関数を用意します。

$$ h(x) = g^x(x) $$

こうすると、「\( 10^6 \)に\( g \)を\( 10^6 \)回適用した数」は\( h(10^6) \)と表されます。

お気づきでしょうが、2倍を繰り返すという操作は非常に強力です。「1粒の米粒を80回2倍にする」だけで米の世界生産量を大きく上回ることはよく知られていますね。

そんな2倍の操作を100万回もやったら......それはもう、巨大な数が出来上がります。Wolfram|Alphaで計算すると、次の結果が得られました:

$$ h(10^6) = 10^6 \cdot 2^{10^6} = 9.90065622929589825069792361630190325073362424178756... × 10^{301035} $$

 

この次に何が起こるかわかりますか? そうですね、\( h(h(10^6)) \)ですね。\( h(10^6) \)は自然数なので、この結果をさらに\( h(x) \)に代入することができます。

$$ h(h(10^6)) > 10^{10^{300000}} $$

指数が3段になってしまいました。この不等式は自明なので証明は読者への演習問題にします

当然のようにこんなこともできます。

$$ h(h(h(10^6))) > 10^{10^{10^{300000}}} $$

 

普段だったらここで終わるのですが、今日の私は暴走モードなのでもっと大きくします。

 

↓警告: ここからはこんな感じの世界に入ります。

何 か が 壊 れ る 音 が し た

6 は 巨 大 数

ス テ ー ジ カ ー デ ィ ナ ル

ア ブ ソ リ ュ ー ト イ ン フ ィ ニ テ ィ ー

我 は 勝 利 す る

キ ェ ェ ェ キ ョ ダ イ キ ョ ダ イ

イ ン テ ル 長 友

も う 何 か 書 い と け

 

 

(注意: この下には非常に心臓に悪いメッセージがあります。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警告しましたよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までと同じ流れで、\( h \)を\( x \)回合成した関数を考えます。\( i \)は明らかに使いたくないので、今までの関数を全部番号で表しましょう。

$$ f(1,x) = f(x), f(2,x) = g(x), f(3,x) = h(x) $$

こうすると、\( h \)を\( x \)回合成した関数はこのように書けますね。

$$ f(4,x) = h^x(x) $$

さて、この\( f(4,x) \)に\( 10^6 \)を入れたら何が起こるでしょうか。

$$ f(4,10^6) > 10 \uparrow \uparrow 10^6 $$

数が大きすぎて、矢印が出てきました。これは「テトレーション」といって、べき乗を再帰的に繰り返した演算です(もちろん指数の方で再帰します)。

テトレーションについてはこの記事が詳しいので、ぜひご一読ください。

テトレーション - Wikipedia

 

もちろん次のステップはこれです。

$$ f(4, f(4, 10^6)) > 10 \uparrow \uparrow 10 \uparrow \uparrow 10^6 $$

テトレーションは右から計算するので、右辺は\( 10 \uparrow \uparrow (10 \uparrow \uparrow 10^6 ) \)です。もうわけがわかりませんね。

ここで止まるわけがありません。

$$ f(4, f(4, f(4,10^6))) > 10 \uparrow \uparrow 10 \uparrow \uparrow 10 \uparrow \uparrow 10^6 $$

$$ f(4, f(4, f(4, f(4, 10^6)))) > 10 \uparrow \uparrow 10 \uparrow \uparrow 10 \uparrow \uparrow 10 \uparrow \uparrow 10^6 $$

 

\( f(4, x) \)もさらに合成することができます。もうめんどくさいので、一気に全部定義してしまいましょう。

\( a, x \)は自然数とする。ただし0は自然数に含まないものとする。

$$ \begin{align} f(1, x) &= x+1 \\ f(a+1, x) &= \left( \lambda t. f(a, t) \right)^x (x) \end{align} $$

ただし\( \lambda \)はラムダ計算のラムダである。

2変数関数\( f \)に対しては\( f^x \)と書くことができない(どちらの変数でネストするのかわからない)ので、こう書くしかありません。

 

こうすると、\( f(5, 10^6), f(6, 10^6), f(7, 10^6), \cdots \)といった数が一度に定義できます。

これらの数はどれほどの大きさになるでしょうか? クヌース矢印表記を使うと、比較することができます。\( f \)の左側の引数が1つ増えると、矢印が1本増えます。

$$ f(5,10^6) > 10 \uparrow \uparrow \uparrow 10^6 $$

$$ f(6,10^6) > 10 \uparrow \uparrow \uparrow \uparrow 10^6 $$

$$ f(7,10^6) > 10 \uparrow \uparrow \uparrow \uparrow \uparrow 10^6 $$

$$ \vdots $$

 

 

 

 

次に何が起きるかわかりますよね。

(グーゴロジスト向け: ここからが本編です)

 

 

 

 

$$ f(10^6, 10^6) > 10 \underbrace{\uparrow\uparrow\uparrow \cdots \uparrow\uparrow\uparrow\hspace{-8mm}}_{10^6-2} 10^6 $$

2変数関数の限界に来てしまいました。ここでまた、「番号」の概念を導入します。今までの\( f(x,y) \)を「\( 1 \)番目の\( f \)」、つまり\( f(1,x,y) \)と書きましょう。

 

この限界を超えるには、「\( 2 \)番目の\( f \)」、つまり\( f(2,x,y) \)を用意すればよいですね。

 

$$ f(2, 1, 10^6) = f(1, 10^6, 10^6) $$

\( f(2,1,10^6) \)は「\( 2 \)番目の\( f \)の\( 1 \)番目の関数」だと思ってください。一般に、次のように\( f(2, 1, x) \)を定義します。

$$ f(2, 1, x) = f(x, x) $$

ところで、2変数関数\( f \)の左側の変数は矢印の本数に相当するのでした。ということは、この\( f(2, 1, x) \)は矢印表記と同じ大きさの関数になります。

 

これでは面白くありませんね。もっと大きくしましょう。

$$ f(2, 2, x) = \left( \lambda t. f(2, 1, t) \right)^x (x) $$

\( f(2,1,x) \)の\(x\)の部分を再帰させてみました。この過程は少しわかりにくいので、ゆっくり行きましょう。

ここから先は不等式比較が本質的ではなくなるので、\( \approx \)で近似します。近似と言っても、実際の値は非常に異なる(だが巨大数的には十分近い)ことに注意してください。

$$ f(2, 1, 10^6) \approx 10 \underbrace{\uparrow\uparrow\uparrow \cdots \uparrow\uparrow\uparrow}_{10^6} 10 $$

$$ f(2, 1, f(2, 1, 10^6)) \approx 10 \underbrace{\uparrow\uparrow\uparrow \cdots \uparrow\uparrow\uparrow}_{10 \underbrace{\uparrow\uparrow\uparrow \cdots \uparrow\uparrow\uparrow}_{10^6} 10} 10 $$

$$ f(2, 1, f(2, 1, f(2, 1, 10^6))) \approx 10 \underbrace{\uparrow\uparrow\uparrow \cdots \uparrow\uparrow\uparrow}_{10 \underbrace{\uparrow\uparrow\uparrow \cdots \uparrow\uparrow\uparrow}_{10 \underbrace{\uparrow\uparrow\uparrow \cdots \uparrow\uparrow\uparrow}_{10^6} 10} 10} 10 $$

そういえばこの構造、どこかで見たことがありますね。 そうです、グラハム数です。

グラハム数と比較すると、\( f(2, 1, x) \)を64段重ねるとグラハム数を超えることが分かります。

すなわち、\( f(2, 2, 10^6) \)はグラハム数より大きいということです!

ついに、ギネスブックに載った数として有名なグラハム数を超えてしまいました!

 

でも、巨大数的にはまだ序盤です。

 

\( f(1,2,x) = g(x) \)から\( f(1,3,x) = h(x) \)を作ったように、\( f(2,2,x) \)から\( f(2,3,x) \)を作ることができます。

$$ f(2, 3, x) = \left( \lambda t. f(2, 2, t) \right)^x (x) $$

もちろん\( f(2, 3, 10^6) \)も定義できます。

 

グラハム数を超えて、比較するものも(チェーン表記ぐらいしか)なくなってきたので3変数の\( f \)の定義を出します。もう5000文字も書いてるしはっきりいってめんどくさい

 

$a, b, c$は自然数とする。ただし0は自然数に含まないものとする。

$$ \begin{align} f(1, 1, c) &= c+1 \\ f(a+1, 1, c) &= f(a, c, c) \\ f(a, b+1, c) &= \left( \lambda t. f(a, b, t) \right)^c (c) \end{align} $$

 

3変数の\( f \)の限界に対応する近似式を以下に示します。

$$ f(10^6, 10^6, 10^6) \approx \underbrace{10^6 \rightarrow 10^6 \rightarrow \cdots \rightarrow 10^6 \rightarrow 10^6}_{10^6} $$

 

 

もうここまでついてこれている人はグーゴロジストしかいないでしょうから、一気に多変数の\( f \)を定義して、巨大数を定義して、これで終わりにしましょう。

 

$a$は自然数とする。$X$は0個以上の1とする。$Y$は0個以上の自然数とする。ただし0は自然数に含まないものとする。

$$ \begin{align} f(X, c) &= c+1 \\ f(Y, a+1, 1, X, c) &= f(Y, a, c, X, c) \\ f(Y, b+1, c) &= \left( \lambda t. f(Y, b, t) \right)^c (c) \end{align} $$

このとき、

$$ f(\underbrace{10^6, 10^6, \cdots, 10^6, 10^6}_{10^6\text{変数}}) $$

を「日曜数学巨大数」とし、これを投稿とする。

 

「日曜数学巨大数」が実際に\( 10^6 \)以上の実数になっていることの証明は第2回幻想巨大数の審査員への演習問題となります。

 

明日の記事はトッチさんによる「実数の冪根の冪根の冪根の... について」です。何らかの極限の話でしょうか。

JJJ(ジャバ・ジャバ・ジャバ)単位系

架空のキャラクターの「強さ」が、力、エネルギー、仕事率のどれで表されているかはキャラクターによって異なり、それらを直接比較するのは困難である。

空想科学読本」では、それらを比較するために次のような単位が導入されている:

 \( 120[\mathrm{kgf}] = 1[\text{ジャバ}] \)

 \( 3300[\mathrm{J}] = 1[\text{ジャバ}] \)

 \( 2.2[\mathrm{PS}] = 1[\text{ジャバ}] \)

右辺の「ジャバ」とは本来「ジャイアント馬場1人分」を表す単位であり、この単位を使うことで力、仕事率、エネルギーを「ジャイアント馬場○人分」という形で一度に比較することができる。

 

ところで、力のSI基本単位による表示は\( [\mathrm{kg\ m\ s^{-2}}] \)、エネルギーのSI基本単位による表示は\( [\mathrm{kg\ m^2\ s^{-2}}] \)、仕事率のSI基本単位による表示は\( [\mathrm{kg\ m^2\ s^{-3}}] \)である。

そこで、\( [\mathrm{kg}] \)、\( [\mathrm{m}] \)、\( [\mathrm{s}] \)からなるベクトル空間を考えると、3つのジャバはその基底となる。

すなわち、3つのジャバから\( [\mathrm{kg}] \)、\( [\mathrm{m}] \)、\( [\mathrm{s}] \)で表される他の全ての単位を構成することができる。

この記事では、このように構成された単位系をJJJ(ジャバ・ジャバ・ジャバ)単位系と呼ぶことにし、JJJ単位系とMKS単位系の換算を行うことにする。

 

また、JJJ単位系に存在する3つのジャバはどれも異なる次元を持つが、これらを区別しないことにする。

また、\( [\text{ジャバ}] \cdot [\text{ジャバ}] = \left[\text{ジャバ}^2\right] \)のように、ジャバに対しても普通の単位と同様の乗算が定義されているものとする。

3つのジャバを区別しないために、ある物理量が\( [\text{ジャバ}] \)にも\( \left[\text{ジャバ}^2\right] \)にも表されることがあると思うかもしれないが、そのようなことは実際には起こりえず、1つの物理量にはちょうど1つのジャバの指数が対応する。証明は読者の演習問題とする。

 

以下に実際の換算値を示す。値は有効数字までしか書かれていないが、内部的には無限桁の計算を行っている。

 

JJJ基本単位

ジャバの定義がMKS単位系で書かれていないので、MKS単位系に直す。

\( \begin{eqnarray*} 120[\mathrm{kgf}] &=& 120[\mathrm{kg}] \cdot 9.80665[\mathrm{m/s^2}] \\ &=& 1.18 \times 10^3 [\mathrm{N}] \end{eqnarray*} \)

エネルギー

\( 3300[\mathrm{J}] = 3.300 \times 10^3[\mathrm{J}] \)

仕事率

\( \begin{eqnarray*} 2.2[\mathrm{PS}] &=& ( 2.2 \cdot 735.49875) [\mathrm{W}] \\ &=& 1.6 \times 10^3 [\mathrm{W}] \end{eqnarray*} \)

有効数字は2桁である。

MKS基本単位

長さ

JJJ単位系において、長さは無次元量である。

\( 1\left[\text{ジャバ}^0\right] = \frac{1[\text{ジャバ}]}{1[\text{ジャバ}]} = \frac{3.300 \times 10^3[\mathrm{J}]}{1.18 \times 10^3 [\mathrm{N}]} = 2.80[\mathrm{m}] \)

例: JJJ単位系で表したジャイアント馬場の身長は\( 0.745 \)である。無次元量なので単位はない。

時間

JJJ単位系において、時間は無次元量である。

\( 1\left[\text{ジャバ}^0\right] = \frac{1[\text{ジャバ}]}{1[\text{ジャバ}]} = \frac{3.300 \times 10^3[\mathrm{J}]}{1.6 \times 10^3 [\mathrm{W}]} = 2.0[\mathrm{s}] \)

例: JJJ単位系で表したジャイアント馬場の存命時間は\( 9.4 \times 10^8 \)である。無次元量なので単位はない。

質量

少しわかりにくいが、JJJ単位系において、質量は\( [\text{ジャバ}] \)の次元を持つ。

\( 1 [\text{ジャバ}]  = \frac{\left(1[\text{ジャバ}]\right)^2 \cdot 1[\text{ジャバ}]}{\left( 1[\text{ジャバ}] \right)^2} = \frac{\left(1.18 \times 10^3[\mathrm{N}]\right)^2 \cdot 3.300[\mathrm{J}]}{\left( 1.6 \times 10^3 [\text{W}] \right)^2} = 1.7 \times 10^3 [\mathrm{kg}] \)

例: JJJ単位系で表したジャイアント馬場の質量は\( 7.7 \times 10^{-2} [\text{ジャバ}] \)、すなわち77ミリジャバである。

その他の単位

以下に一覧を示す。

 

面積: \( \left(1\left[\text{ジャバ}^0\right]\right)^2 = \left(2.80[\mathrm{m}]\right)^2 = 7.86 [\mathrm{m^2}] \)

        例: \(1[\text{東京ドーム}]\)は\(5.95 \times 10^3 \)である。

体積: \( \left(1\left[\text{ジャバ}^0\right]\right)^3 = \left(2.80[\mathrm{m}]\right)^3 = 2.21 \times 10^1 [\mathrm{m^3}] \)

        例: \(1[\text{東京ドーム}]\)は\(5.62 \times 10^4 \)である。

速度: \( 1\left[\text{ジャバ}^0\right] = \frac{1[\text{ジャバ}^0]}{1[\text{ジャバ}^0]} = \frac{2.80 [\mathrm{m}]}{2.0 [\mathrm{s}]} = 1.4[\mathrm{m/s}] \)

        例: 光の速さは\(2.2 \times 10^8 \)である。

加速度: \( 1\left[\text{ジャバ}^0\right] = \frac{1[\text{ジャバ}^0]}{\left(1[\text{ジャバ}^0]\right)^2} = \frac{2.80 [\mathrm{m}]}{\left( 2.0 [\mathrm{s}] \right)^2} = 0.67[\mathrm{m/s^2}] \)

        例: 標準重力加速度は\(1.5 \times 10^1 \)である。

躍度: \( 1\left[\text{ジャバ}^0\right] = \frac{1[\text{ジャバ}^0]}{\left(1[\text{ジャバ}^0]\right)^3} = \frac{2.80 [\mathrm{m}]}{\left( 2.0 [\mathrm{s}] \right)^3} = 0.33[\mathrm{m/s^3}] \)

周波数: \( 1\left[\text{ジャバ}^0\right] = \frac{1}{1[\text{ジャバ}^0]} = \frac{1}{2.0 [\mathrm{s}]} = 0.49[\mathrm{Hz}] \)

        例: テノールは\(9.0 \times 10^2 \)の音を出す。

密度: \( 1\left[\text{ジャバ}^1\right] = \frac{1[\text{ジャバ}^1]}{\left(1[\text{ジャバ}^0]\right)^3} = \frac{1.7 \times 10^3 [\mathrm{kg}]}{\left( 2.80 [\mathrm{m}] \right)^3} = 79[\mathrm{kg/m^3}] \)

        例: 金の密度は\(2.4 \times 10^2 [\text{ジャバ}]\)である。

圧力: \( 1\left[\text{ジャバ}^1\right] = \frac{1[\text{ジャバ}^1]}{\left(1[\text{ジャバ}^0]\right)^2} = \frac{1.18 \times 10^3 [\mathrm{N}]}{\left( 2.80 [\mathrm{m}] \right)^2} = 150[\mathrm{P}\mathrm{a}] \)

        例: 大気圧は\(6.77 \times 10^2 [\text{ジャバ}]\)である。

増税問題

この記事は、tsujimotterさんの「増税問題」の記事にインスパイアされました。

 

問題:

\( 0 \leq \alpha \leq 1\)を満たす実数\( \alpha \)に対し、自然数の部分集合\( S_{\alpha} \)を以下で定義する:

\( S_{\alpha} := \{ \lfloor(1+\alpha)n\rfloor \mid n \in \mathbb{Z}, n \geq 0\} \)

このとき、差集合\( S_{0.1} \setminus S_{0.08} \)の数を特徴付けよ。

 

観察1:

消費税が10%のとき、総額表示に現れる数は

0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,

11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,

22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,

33,...

と、三焦数(11で割って10余る数)は現れず、三焦数以外の全ての数が現れていることが分かる。

証明1:

商品価格を\(10n+m(m=0,1,\cdots,9)\)とする。

総額は\(\lfloor11n+1.1m\rfloor = 11n+\lfloor1.1m\rfloor\)であるが、

\(0 \leq m \leq 9\)より\(\lfloor1.1m\rfloor=m\)が成り立つ。

したがって、総額を三焦数にすることはできず、逆に\(n\)と\(m\)をうまくとれば任意の三焦数以外の数を総額にすることができる。

 

観察2:

消費税が8%のときは27で割って13または26余る数は現れず、それ以外の全ての数が現れる。証明は読者の演習問題とする。

 

定理:

以上のことから、\( S_{0.1} \setminus S_{0.08} \)を剰余で表現することができる。それは、三焦数でない数であって27で割って13または26余る数であるから、11と27の最小公倍数が297であることに注意すると、\( S_{0.1} \setminus S_{0.08} \)は、297で割った余りが次のリストに含まれる自然数全体の集合と一致する:

13, 26, 40, 53, 67, 80, 94, 107, 121, 134, 148, 161, 188, 202, 215, 229, 242, 256, 269, 283

あるいは、このリストは297以下の27で割って13または26余る数のうち、175と296を除いたものとも表せる。

 

 

追記1: 11=10-1, 13=(27-1)/2, 26=27-1であるのは何か理由があると予想されるが、その理由はこの記事では追求しないことにする。

追記2: 「三焦数」という単語には馴染みのない読者がほとんどだと思うが、気にすることではない。なぜならこの単語はこの記事の執筆以前にTwitter全体で1回しか使われていないからだ。

ドディデの歌に対する歌詞の提案

(最初に「さあみんなでかなり過激なドレミの歌を歌いましょう」という台詞を入れてもよい)

 

ドはドイツ語のド

ディはディベヒ語のディ

デはデンマーク語のデ

ニは日本語のニ

 

ネはネパール語のネ

ヌはヌビア語のヌ

ギはギリシャ語のギ

ゲはゲエズ語のゲ

 

 

グはグリーンランド語のグ

レはレオン語のレ

ケはケクチ語のケ

ルはルワンダ語のル

 

クはクルド語のク

リはリパライン語のリ

キは北ソト語のキ

ムはムンダリ語のム

 

 

コはコプト語のコ

モはモンゴル語のモ

ミはミスキート語のミ

ウはウビフ語のウ

 

メはメロエ語のメ

ミャはミャオ語のミャ

ファはファン語のファ

パはパーリ語のパ

 

 

ヴァはヴァイ語のヴァ

ダはダリー語のダ

ヒはヒンディー語のヒ

ピはピダハン語のピ

 

フォはフォン語のフォ

ショはショナ語のショ

チョはチョクウェ語のチョ

ソはソマリ語のソ

 

 

トはトルコ語のト

ゴはゴート語のゴ

ボはボスニア語のボ

ゾはゾンカ語のゾ

 

カはカザフ語のカ

ナはナマ語のナ

マはマレー語のマ

ヤはヤオ語のヤ

 

 

ラはラテン語のラ

タはタイ語のタ

ワはワライ語のワ

サはサンカ語のサ

 

セはセルビア語のセ

ツェはツェズ語のツェ

ゼはゼナガ語のゼ

ジェはジェメズ語のジェ

 

 

テはテルグ語のテ

シはシンハラ語のシ

 

ジはジカリラ語のジ

スはスワヒリ語のス

ズはズールー語のズ

 

 

さあ歌いましょ

ドディデニネヌギゲ

グレケルクリキム

コモミウメミャファパ

ヴァダヒピフォショチョソ

トゴボゾカナマヤ

ラタワサセツェゼジェ

テシジスズ

ド ソ ド!

 

53平均律に対する音名の提案

この記事で求めたように、53平均律は周波数の有理数比を高い精度で近似することができる。

 

しかし、私たちは53平均律になじみがない。

そこで、この記事では53平均律に存在する全ての音に対する名前を提案する。

一応ここで提案されてはいるものの、発音が日本語話者向けではないので、日本語話者向けの名前を提案する。

 

全音

53 equal temperament - Wikipedia

53edo - Xenharmonic Wiki

にも書かれている以上、全音が53音のどこに入るかについてはある程度合意があるようである。

ここでは、次のような表を埋めることで53音の名前を提案していくことにする。

               
               
     
ファ                
               
               
     

 

半音と四分音

50セントの倍数に最も近い場所に24平均律の音名を置く。音名は変拍子兄さん様の提案を使用する。

 

ただし、「フィ」は53平均律の丁度中間にあるので使用しないこととした。

このとき、24平均律と53平均律の同じ音名で実音がもっとも離れているのはム(53平均律の方が約10.38セント低い)とマ(53平均律の方が約10.38セント高い)である。

純正律のミと平均律のミの違い(約13.69セント)より小さいので問題ないでしょう。

         
         
   
ファ   ヴァ         ショ  
         
         
   

それ以外の音

ここからは完全に私独自の提案である。

ディ
ミャ
ファ ヴァ フォ ショ チョ
ツェ ジェ

 

というわけで、53平均律の音名が完成してしまいました。

 

そこで、こんなものを提案します。

「53平均律のドレミの歌」 (a.k.a. ドディデの歌)

歌詞は絶賛募集中です。たぶん歌詞を作るだけでも相当難しいと思います。 歌詞ができても実際に歌うことは推奨しません。

4重フ界

ここでは、十進法において6,7,8,9を使用せず、目(-4),ヨ(-3),ヲ(-2),¬(-1)を使用した場合の記数法およびその記数法を使用して行われる数学について考察する。以下、この基数法を「4重フ記法」と呼び、この基数法を使用している世界を「4重フ界」と呼ぶことにする。

 

数える

0周辺の数は次のように表される。

...¬ヲ,¬¬,¬0,...,¬4,¬5,目,ヨ,ヲ,¬, 0 , 1,2,3,4,5,1目,1ヨ,1ヲ,1¬,10,11,...

 

足し算

これは4重フ界における足し算の表である。

+ 0 1 2 3 4 5
¬2 ¬3 ¬4 ¬5 0 1
¬3 ¬4 ¬5 0 1 2
¬4 ¬5 0 1 2 3
¬5 0 1 2 3 4
0 0 1 2 3 4 5
1 0 1 2 3 4 5 1目
2 0 1 2 3 4 5 1目 1ヨ
3 0 1 2 3 4 5 1目 1ヨ 1ヲ
4 0 1 2 3 4 5 1目 1ヨ 1ヲ 1¬
5 1 2 3 4 5 1目 1ヨ 1ヲ 1¬

10

 

引き算

これは4重フ界における引き算の表である。

- 0 1 2 3 4 5
0 1 2 3 4 5 1目 1ヨ 1ヲ 1¬
0 1 2 3 4 5 1目 1ヨ 1ヲ
0 1 2 3 4 5 1目 1ヨ
0 1 2 3 4 5 1目
0 0 1 2 3 4 5
1 ¬5 0 1 2 3 4
2 ¬4 ¬5 0 1 2 3
3 ¬3 ¬4 ¬5 0 1 2
4 ¬2 ¬3 ¬4 ¬5 0 1
5 ¬1 ¬2 ¬3 ¬4 ¬5 0

 

掛け算

これは4重フ界における掛け算の表である。

× 0 1 2 3 4 5
2目 12 1ヲ 4 0 ¬2 ¬ヲ ヲ4 ヲ0
12 1¬ 1目 3 0 ¬4 ¬1 ¬ヲ ヲ5
1ヲ 1目 4 2 0 ¬4 ¬2 ¬0
4 3 2 1 0 ¬5
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
1 0 1 2 3 4 5
2 ¬2 ¬4 0 2 4 1目 1ヲ 10
3 ¬ヲ ¬1 ¬4 0 3 1目 1¬ 12 15
4 ヲ4 ¬ヲ ¬2 0 4 1ヲ 12 2目 20
5 ヲ0 ヲ5 ¬0 ¬5 0 5 10 15 20 25

 通常の十進法の掛け算の表とはかなり異なるが、マイナス×マイナスがプラスであることがよくわかる表になっている。

 

複数桁の計算例については他の人に任せます。