増税問題
この記事は、tsujimotterさんの「増税問題」の記事にインスパイアされました。
問題:
\( 0 \leq \alpha \leq 1\)を満たす実数\( \alpha \)に対し、自然数の部分集合\( S_{\alpha} \)を以下で定義する:
\( S_{\alpha} := \{ \lfloor(1+\alpha)n\rfloor \mid n \in \mathbb{Z}, n \geq 0\} \)
このとき、差集合\( S_{0.1} \setminus S_{0.08} \)の数を特徴付けよ。
観察1:
消費税が10%のとき、総額表示に現れる数は
0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,
11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,
22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,
33,...
と、三焦数(11で割って10余る数)は現れず、三焦数以外の全ての数が現れていることが分かる。
証明1:
商品価格を\(10n+m(m=0,1,\cdots,9)\)とする。
総額は\(\lfloor11n+1.1m\rfloor = 11n+\lfloor1.1m\rfloor\)であるが、
\(0 \leq m \leq 9\)より\(\lfloor1.1m\rfloor=m\)が成り立つ。
したがって、総額を三焦数にすることはできず、逆に\(n\)と\(m\)をうまくとれば任意の三焦数以外の数を総額にすることができる。
観察2:
消費税が8%のときは27で割って13または26余る数は現れず、それ以外の全ての数が現れる。証明は読者の演習問題とする。
定理:
以上のことから、\( S_{0.1} \setminus S_{0.08} \)を剰余で表現することができる。それは、三焦数でない数であって27で割って13または26余る数であるから、11と27の最小公倍数が297であることに注意すると、\( S_{0.1} \setminus S_{0.08} \)は、297で割った余りが次のリストに含まれる自然数全体の集合と一致する:
13, 26, 40, 53, 67, 80, 94, 107, 121, 134, 148, 161, 188, 202, 215, 229, 242, 256, 269, 283
あるいは、このリストは297以下の27で割って13または26余る数のうち、175と296を除いたものとも表せる。
追記1: 11=10-1, 13=(27-1)/2, 26=27-1であるのは何か理由があると予想されるが、その理由はこの記事では追求しないことにする。
追記2: 「三焦数」という単語には馴染みのない読者がほとんどだと思うが、気にすることではない。なぜならこの単語はこの記事の執筆以前にTwitter全体で1回しか使われていないからだ。