浅葱色の計算用紙

数学(広義)を扱っています。

筋肉に固定資産税をかける方法

今更ですが、何年か前に筋肉の多い人に対して

「デカすぎて固定資産税がかかりそうだな!」

と声を掛けるのが流行りました。

そこで、この記事ではどのようにすれば筋肉に固定資産税をかけることができるか検証します。

注意: 私は弁護士ではないので、法律の解釈を誤っている可能性があります。その場合はコメントでご指摘ください。


以下、地方税法の条文は全てe-Gov法令検索から引用しています。

elaws.e-gov.go.jp

固定資産税って何?

そもそも、固定資産税は何にかかるのでしょうか。地方税法第343条第1項には、

「固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。」

と書かれています。つまり、筋肉を固定資産にすることができれば筋肉に固定資産税をかけることができるようですね。

固定資産って何?

では、固定資産とは何なのでしょう。地方税法第341条1項には、

「固定資産 土地、家屋及び償却資産を総称する。」

と書かれています。この条文は定義の一部なので、「固定資産とは、土地と家屋と償却資産の総称である。」という意味だととれます。筋肉は明らかに土地でも家屋でもないので、筋肉を何らかの方法で償却資産にすることができれば、筋肉に固定資産税をかけることができます。

償却資産って何?

用語がどんどんたらい回しにされるだけで、まだ具体的な方法が出てきません。根気良く、次の定義を見ていきましょう。同じ地方税法第343条の第4項には、

「償却資産 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産を除く。)でその減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるもののうちその取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のもの(これに類する資産で法人税又は所得税を課されない者が所有するものを含む。)をいう。ただし、自動車税の種別割の課税客体である自動車並びに軽自動車税の種別割の課税客体である原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除くものとする。」

と書いてあります。長いですが、定義文は「XでYのうちZ以外のものをいう。ただし、Wを除くものとする。」という構造になっています。つまり、集合の表記で書けば(X∩Y-Z)-Wです。

つまり、筋肉が償却資産になるためには、筋肉がXでもYでもあり、ZでもWでもなければよいですね。

では、XYZWをそれぞれ見ていきましょう。

X: 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資産を除く。)

さっそく問題が生じました。個人所有の筋肉はXの「事業の用に供することができる資産」の条件に反してしまいます。その個人を個人事業主に仕立て上げて、続けましょう。

Y: その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるもの

もっと大きな問題です。筋肉を購入して減価償却しないと固定資産税の対象にはなりません。おそらく自身の筋肉はこの条件を満たしようがないので、何らかの動物の筋肉を合法的な手段で手に入れたものとしましょう。この時点で本来の趣旨からはだいぶ外れていますが、筋肉に固定資産税をかけるにはこうするしかありません。

Z: その取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のもの(これに類する資産で法人税又は所得税を課されない者が所有するものを含む。)

10万円以下だと少額とみなされ、20万円以下だと課税対象とならないらしいので、20万円を超える必要があります。また、償却資産の合計が150万円以下だと課税されないので、何か適当に固定資産を買っておきましょう。

W: 自動車税の種別割の課税客体である自動車並びに軽自動車税の種別割の課税客体である原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車

筋肉は自動車ではないので、この条件は自動的に満たされます。

減価償却

筋肉を減価償却するにはどうすればよいでしょうか。

国税庁のサイトによると、減価償却は時間で価値が減少するものに付けられます。筋肉は生ものなので当然時間で価値が減少します。すなわち、減価償却できる可能性があります。おそらく耐用年数は備品扱いで8年になるものと思われますが、本当にそれでいいのかは分かりません。

結論

筋肉に固定資産税をかけるには、自分以外の何らかの動物の筋肉を150万円分以上購入し、それを8年(たぶん)で減価償却すればよいことがわかりました。

これだけの金額ともなると、筋肉質の動物を直接購入してしまうのもありかもしれませんね。