浅葱色の計算用紙

数学(広義)を扱っています。

異なる3個の実数解

※この記事は、このブログ記事に対する解答用紙となっています。

 

問題:

連続な実数値関数fであって、任意の実数kに対して、f(x)=kを満たすようなxがちょうど3個あるような関数は存在するか?

 

解答

存在する。次のようなグラフを考える:

f:id:itonayuta60:20170708183003p:plain

このグラフは、f(x)=sinx+ax(aは0<a<1をみたす定数)のグラフであり、かつx>0での最初の極小値がちょうど0になるようにaを設定した関数である。これが任意の実数kに対しf(x)=kを満たすxが3個あることは図より明らかである。

 

ちなみに、aの値を求めようとすると次のようになる。

 

\( f(x)=\sin{x}+ax \) について、

\( f'(x)=\cos{x}+a \)であるから、

x>0での最初の極小値をとるxの値は

\( x=2\pi-\cos^{-1}{-a} = \pi + \cos^{-1}{a} \)

であるから、その時の極小値は

\( \sin{(\pi+\cos^{-1}{a})}+ a\pi + \cos^{-1} {a} \)

=\( -\sqrt{1-a^2}+a\pi +a\cos^{-1}{a} \)

 

よってaは

\( a(\pi+\cos^{-1}{a})=\sqrt{1-a^2} \)

を満たすが、この方程式は解析的に解くことが出来ない。

(なお、aの値は小数では0.2172336282...となる)

【物理?】電気力線の方程式を求める(1)【数学?】

定義

とは、物体に加速度を与えるベクトル量であり、力と加速度の関係は、力を\( \vec{F} \), 物体の質量を\( m \),加速度を\( \vec{a} \)とすると、\( \vec{F}=m\vec{a} \)となる。

仕事とは、物体に与えられたエネルギーを表すスカラー量であり、x=tの所でx軸方向の正の向きにf(t)の力を受けて物体がx=aからx=bまで動いた場合、その力が物体に与えた仕事は \( \int_{a}^{b}f(x)dx  \)となる。

電荷とは、スカラー量(負でもよい)を持つ点である。

電気量とは、電荷が持っているスカラー量であり、記号はqやQを使う。

静電気力とは、電荷同士が受ける力であり、その大きさはkを比例定数、rを電荷間の距離、q,Qを2つの電荷の電気量とすると\( \frac {kqQ} {r^2}  \)であり、qQ>0のとき斥力、qQ<0のとき引力となる。

電位とは、スカラー場であり、電位がVだけ高い所に電気量がQの電荷を移動させるにはQVの仕事を要する。通常、無限遠点での電位を0とする。

等電位面とは、電位が等しい点を結んでできる図形であり、それが曲線の時は等電位線ともいう。

電気力線とは、正の電気量が静電気力に従って動く軌跡である。最初の電荷の位置によって同じ電荷の配置であっても異なる電気力線が描かれる。

 

定理

固定された電荷が1個だけある空間において、その電荷の電気量をQとすると、電荷からの距離がrの点での電位は\(  {kQ} \over r  \)である。

固定された電荷が原点にあるとする。

原点からの距離がxの点で、電気量が+1の電荷は\( \frac {kQ} {r^2}  \)の力を受けるので、この電荷が「原点からの距離がrの点」から「無限遠」まで行くときに静電気力がした仕事は、

\( \int_{r}^{\infty} \frac {kQ} {x^2}  dx = \left[ -{kq}\over{x} \right]^{\infty}_{r} = \frac{kq}{r} \)

よって電位はkQ/r÷1=kQ/rとなる。

 

等電位面と電気力線は、必ず直交する。

そうでなければ、等電位面にそって電荷を動かしたとき、仕事が発生する。

放物線の共通接線

問題:「2次の係数の符号が異なる2つの放物線の共通接線は何本あるか?」

 

2次の係数が正であるほうの放物線をC1、2次の係数が負であるほうの放物線をC2とする。

放物線の内側から接線を引くことはできない、すなわち、放物線の接線は内側を通らない。

 

 

(i)放物線が交わるとき 

共通接線が存在すると仮定する。

 

(a)接点がPとQの間にあるとき

接点が片方の放物線の内側にあることになり、放物線の内側に接線がないことに矛盾

 

(b)C1側の接点がPより左にあり、C2側の接点がQより右にあるとき

PとQの間を通るx軸に垂直な直線L(図中の緑)を考えると、L上の全ての点はC1またはC2の内側にある。

接線は2つの接点を通る直線なので、 この接線は必ずLと交わるが、これは接線が放物線の内側を通らないことと矛盾

また、C1側の接点がQより右にあり、C2側の接点がPより左にあるときも同様に矛盾する。

 

(c)C1,C2側の接点がともにPより左にあるとき

平均値の定理より、線分PQと同じ傾きを持つC1の接線がPとQの間に存在する。

この傾きをmとすると、C1は下に凸なので傾きは単調増加、よって共通接線の傾きをxとするとx<m・・・①

同様に、線分PQと同じ傾きを持つC2の接線がPとQの間に存在し、C2は上に凸なので傾きは単調減少、よってx>m・・・②

①②は同時には成り立たないので矛盾

また、C1,C2側の接点がともにQより右にあるときも同様に矛盾する。

 

以上より、共通接線が存在すると仮定してどのような場合でも矛盾が生じたので、共通接線は存在しない。

 

 

(ii)放物線が接するとき

 「接する」の定義より、接点Pで1本共通接線(図中の赤)(これをNとする)が引ける。以下、これ以外に共通接線(これをMとする)が存在すると仮定して矛盾を導く。

(a)C1側の接点がPより左にあり、C2側の接点がPより右にあるとき

Pを通るx軸に垂直な直線L(図中の緑)を考えると、L上のPでない全ての点はC1またはC2の内側にある。

接線は2つの接点を通る直線であり、 この接線は必ずLと交わる。

MとLとの交点がPでないとすると、Mは放物線の内側を通ることになり矛盾

MとLとの交点がPであるとすると、MはC1とPで交わるが、放物線と接線の交点は接点のみなのでこのときMはPで接していることになりMはNとと一致し、接点がPより左側にあることに矛盾

また、C1側の接点がPより右にあり、C2側の接点がPより左にあるときも同様に矛盾する。

 

(b)C1,C2側の接点がともにPより左にあるとき

Nの傾きをmとし、Mの傾きをxとすると

C1は下に凸なので傾きは単調増加、よってx<m・・・①

C2は上に凸なので傾きは単調減少、よってx>m・・・②

①②は同時には成り立たないので矛盾

また、C1,C2側の接点がともにPより右にあるときも同様に矛盾する。

 

以上より、N以外に共通接線が存在すると仮定してどのような場合でも矛盾が生じたので、共通接線は存在しない。

 

また、C1側の接点がQより右にあり、C2側の接点がPより左にあるときも同様に矛盾する。

 

 

(iii)放物線が交わらないとき

どんな実数mに対しても、C1における傾きがmの接線は1本だけ定まるので、この接線のy切片をsとする。

同様に、C2における傾きがmの接線も1本だけ定まるので、この接線のy切片をtとする。

また、実数mに対し、関数f(m)をs-tで定めると、これは関数の値が一義的に定まる(well-definedである)。

このとき、f(x)=0を満たすxに対し、それに対応するC1とC2の接線は傾きがxで等しくy切片も等しいのでこれは共通接線を意味する。 

 

ここで、\( \displaystyle \lim_{m\rightarrow \infty}f(m)  \)を考えると、m>0の範囲でsは単調減少しtは単調増加するので\( s\rightarrow \infty, t\rightarrow- \infty \) となり\(\displaystyle \lim_{m\rightarrow \infty}f(m) = - \infty  \)

同様にして\(\displaystyle \lim_{m\rightarrow -\infty}f(m) = - \infty  \)

 

しかし2つの放物線の間を通る直線(図中の赤)を考え、この傾きをaとすると、s>tよりf(a)>0が成り立つ。よって、中間値の定理よりx<a,a<xの範囲に少なくとも1個ずつf(x)=0をみたすxが存在する。よって、共通接線は少なくとも2本存在する。・・・③

 

ここで、2つの放物線をC1:y=ax^2+bx+c, C2:y=dx^2+ex+f (a>0,d<0)とおき、f(α)=0だとすると、C1とC2は傾きがαの共通接線を持つ。

C1の接点のx座標をtとするとy'=2ax+bであるからα=2at+bよりt=(a-b)/2a

このとき接線の方程式はy-(at^2+bt+c)=α(x-t)

よってy=αx+(at^2+(α+b)t+c)

これがC2と接すればよいのでαx+(at^2+(α+b)t+c)=dx^2+ex+fが重解を持てばよい。

αx+(at^2+(α+b)t+c)=dx^2+ex+f ⇔ dx^2+(e-α)x+(f-(at^2+(α+b)t+c))=0よりこの判別式をDとすると

(e-α)^2-4d(f-(at^2+(α+b)t+c))=0

これはαに関する二次方程式なのでαの実数解は最大で2個、すなわち、f(α)=0の実数解は最大で2個であるから、2つの放物線の共通接線は最大でも2本である。・・・④

 

③④より、共通接線は2本存在する。