浅葱色の計算用紙

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センター試験にはポン酢が合う(2019)

ネタバレ注意: この記事にはセンター試験の解法が含まれます。

 

今日はセンター試験がありました。

ところで、グレブナー基底にはポン酢が合います。

というわけで、この記事では2019年度大学入試センター試験数学ⅠA第5問をグレブナー基底で解きます。

 

問題(一部改変):

(1)AB=4, BC=7, CA=5の△ABCの内接円をΓとする。ΓとABとの接点をD、ΓとACとの接点をEとするとき、DEの長さを求めよ。

(2)BEとCDの交点をPとし、直線CPとΓとの交点でDとは異なる点をFとする。cos∠DFEを求めよ。

(実際のセンター試験問題にはこれ以外にも求めるものがあるが、この記事と同様の方法で解けるのでここでは省略する。)

 

図(Geogebraにより作成):

f:id:asangi_a4ac:20190120173532p:plain



 

解答(実践向きではない。コンピューターの使用を推奨する):

(1)

グレブナー基底を使用するため、全てを座標で表す。

まず、A(0,a), B(b-7,0), C(b,0)とする。

このとき、

a^2+(b-7)^2-16=0, a^2+b^2-25=0

が成り立つ。

 

ΓとBCの接点をHとすると、AD=AE, BD=BH, CH=HEであるから、

AD=x, BH=y, CE=zとして、

x+y-4=0, y+z-7=0, z+x-5=0

が成り立つ。

これくらいはコンピューターを使わなくても解けるのでこの場で解いてしまう。

3式足し合わせると2x+2y+2z-16=0すなわちx+y+z-8=0であるから、

x=1, y=3, z=4となる。

 

よって、DはBAを3:1に内分する点、EはACを1:4に内分する点であるから、D(dx,dy), E(ex,ey)とすると、

dx=(b-7)*1/4

dy=a*3/4

ex=b*1/5

ey=a*4/5

となる。したがって、

b-7-4*dx=0, a*3-4*dy=0, b-5*ex=0, a*4-5*ey=0

が成り立つ。

 

求める長さをlとすると、

l^2-(dx-ex)^2-(dy-ey)^2=0

が成り立つので、

{a^2+(b-7)^2-16, a^2+b^2-25, b-7-4*dx, a*3-4*dy, b-5*ex, a*4-5*ey, l^2-(dx-ex)^2-(dy-ey)^2}のグレブナー基底を求めればよい。

 

上の集合に対するa>b>dx>dy>ex>ey>lの順序におけるgrevlexでのグレブナー基底は、

 [1225*ey^2-6144,-5*l^2+12,4*a-5*ey,7*b-29,7*dx+5,16*dy-15*ey,35*ex-29]

であるから、-5*l^2+12=0であることがわかり、l>0からl=2√15/5がわかる。

 

(2)

FはCD上にあるので、F(fx,fy)の座標は実数tを用いて

(b*(1-t)+dx*t, dy*t)

と表せる。

よって、

fx-b*(1-t)-dx*t=0, fy-dy*t=0

が成り立つ。

 

ここで、△ABCの内心をI(ix,iy)とすると、内心の位置ベクトルの公式から、

ix=(5*(b-7)+4*b)/16, iy=7*a/16であるから、

9*b-35-16*ix=0, 7*a-iy*16=0

が成り立つ。

FはΓ上にあるのでFI=EIが成り立つ。すなわち、

(ix-fx)^2+(iy-fy)^2-(ix-ex)^2-(iy-ey)^2=0

である。

 

さらに、DがFと異なるということを示すために、

z*(dx-fx)-1=0

という式を追加する。これは実数zを用いてdxとfxの差が1/zと表せる、すなわちdxとfxが等しくないことを意味する。

 

cos∠DFEは余弦定理から求めることができる。DE=lと置いたので、EF=m, FD=nとすると、cos∠DFE=(m^2+n^2-l^2)/(2*m*n)と書ける。そこで、cos∠DFE=sと置くことにすると、

m^2-(fx-ex)^2-(fy-ey)^2=0

n^2-(dx-fx)^2-(dy-fy)^2=0

2*s*m*n-(m^2+n^2-l^2)=0

となる。

 

よって、

{a^2+(b-7)^2-16, a^2+b^2-25, b-7-4*dx, a*3-4*dy, b-5*ex, a*4-5*ey, l^2-(dx-ex)^2-(dy-ey)^2,fx-b*(1-t)-dx*t, fy-dy*t, 9*b-35-16*ix, 7*a-iy*16, (ix-fx)^2+(iy-fy)^2-(ix-ex)^2-(iy-ey)^2, z*(dx-fx)-1, m^2-(fx-ex)^2-(fy-ey)^2, n^2-(dx-fx)^2-(dy-fy)^2, 2*s*m*n-(m^2+n^2-l^2)}のグレブナー基底を求めればよい。

 

上の集合に対するa>b>dx>dy>ex>ey>l>fx>fy>t>ix>iy>z>m>n>sの順序におけるgrevlexでのグレブナー基底は、

[5*l^2-12,-2*iy^2+3,35*m^2-48,-24*s+7*n*m,-7*n^2+36,5*m*s-2*n,-2*n*s+3*m,-5*s^2+3,7*a-16*iy,-7*b+29,-7*dx-5, 7*dy-12*iy,35*ex-29,-35*ey+64*iy,-49*fx+67,-49*fy+48*iy,-7*t+4,-7*ix+1,-102*z-49]

であるから、-5*s^2+3=0であることがわかり、s>0からs=√15/5がわかる。

 

 

使用したRisa/Asirのコマンド:

(1)

nd_gr([a^2+(b-7)^2-16, a^2+b^2-25, b-7-4*dx, a*3-4*dy, b-5*ex, a*4-5*ey, l^2-(dx-ex)^2-(dy-ey)^2],[a,b,dx,dy,ex,ey,l],0,0);

(2)

nd_gr([a^2+(b-7)^2-16, a^2+b^2-25, b-7-4*dx, a*3-4*dy, b-5*ex, a*4-5*ey, l^2-(dx-ex)^2-(dy-ey)^2,fx-b*(1-t)-dx*t, fy-dy*t, 9*b-35-16*ix, 7*a-iy*16, (ix-fx)^2+(iy-fy)^2-(ix-ex)^2-(iy-ey)^2, z*(dx-fx)-1, m^2-(fx-ex)^2-(fy-ey)^2, n^2-(dx-fx)^2-(dy-fy)^2, 2*s*m*n-(m^2+n^2-l^2)],[a,b,dx,dy,ex,ey,l,fx,fy,t,ix,iy,z,m,n,s],0,0);